「飼ってる犬が皮膚病かもしれない…」
「犬の皮膚病ってどんな病気?」
「犬の皮膚病の治し方について知りたい」
愛犬が自分の体を掻いて痒そうにしていると、とても不安になりますよね。
ワンちゃんがかかる病気として最もかかりやすいと言われているのが「皮膚病」です。
皮膚病は悪化すると、皮膚がただれたり、変色したり、脱毛するなどして、日常生活に支障をきたしてしまいます。
今回はそんな犬の皮膚病について、獣医師であり、著者の宿南章(しゅくなみあきら)先生をお招きして、詳しく聞いてみることにしました!
獣医師。1969年生まれ。兵庫県養父(やぶ)市出身。 獣医師。日本大学農獣医学部(現日本大学生物資源科学部)獣医学科卒業。
横浜で犬猫の動 物病院に勤務。 西洋医学の限界を感じ、その後、米国の最先端の代替療法を日本に導入している研究所に移籍。
オリンピック銀メダリストなど、プロスポーツ選手の食事アドバイスをしたり、北海道の農 協の依頼を受け、牛のサルモネラダブリン症の治療を行い、 当時抗生物質も効かない病気を 治癒させるなど、数多くの治療実績を持つ。
その後、予防医学に特化した自然療法動物病院を設立し、犬・猫を中心に、国内外から治療 が困難とされた動物の治療にあたる。 その後、ドッグフードとキャットフードの開発を本格的に始め、2015年に著書『薬いらずで、 愛犬の病気は治る』を出版し、Amazon、楽天ブックス、紀伊國屋WEBストアなど、17部門で 1位を獲得。
目次
1.犬の皮膚病とは
元来、皮膚は、菌やアレルゲン、カビ、紫外線などの外的な刺激から体を守る役割(免疫機能)を持っていますが、様々な要因によって、この皮膚のバリア機能が働かなくなってしまう状態が、犬の皮膚病です。
皮膚のバリア機能が働かなくなると、外的な刺激に対して、より敏感になり、それがかゆみを発生させてしまいます。
初期症状はかゆみですが、患部をかきむしってしまうことによって、脱毛が起きたり、皮膚が厚くなってしまったり、変色してしまうようなことも起きてしまいます。
また、犬の皮膚病の種類は、本当に幅広くて、ざっくり分けても200~300種類以上あると言われています。
その中でも、メインとなってくるのが
- アトピー性皮膚炎
- 食物アレルギー性皮膚炎
- マラセチア皮膚炎
- 膿皮症
- 寄生虫による皮膚病
- ホルモン異常による皮膚病
の6種類の皮膚病です。
犬の皮膚病の恐ろしいところが、同時多発的に、複数の皮膚病が併発してしまうことです。
例えば、最初にアトピー性皮膚炎を発症して、次に食物アレルギー性皮膚炎を発症して、免疫力がさらに低下すると、今度は室内の「カビ」に反応してしまって、マラセチア皮膚炎になり、皮膚を掻きむしってしまうことで、膿皮症にもかかるという具合になってしまいます。
それぞれの皮膚病によっても、原因は変わってくるので、非常に複雑で対処が難しい病の一つでもあります。
2.犬の皮膚病の種類と特徴
2-1.アトピー性皮膚炎とは
まず、アトピー性皮膚炎について。
アトピー性皮膚炎は
- ほこり
- ダニ
- 花粉
などの環境アレルゲンに過剰反応することによって発症する皮膚病です。
アトピー性皮膚炎は、特に遺伝的に皮膚のバリア機能が弱いワンちゃんが発症しやすい皮膚病です。
具体的には、柴犬、シーズー、フレンチ・ブルドッグ、ゴールデンレトリバー、ウェストハイランド、ホワイトテリアなどで発症しやすい傾向にあります。
早いと生後6ヶ月くらいから発症し始め、基本的に完治はしないため、一生付き合っていくことになります。
かゆみは、目、口、耳、顔、足先、脇の下、お腹、尻尾の付け根などでよく発症します。
2-2.食物アレルギー性皮膚炎とは
次の食物アレルギー性皮膚炎は、食物アレルゲンに対して過剰反応してしまうことによって発症する皮膚病です。
例えば、穀物に対してアレルギーを持っているワンちゃんが、穀物が入っているドッグフードやおやつを食べることによって、痒みが発症します。
食物アレルギー性皮膚炎の場合は、アレルギーを発症させている食べ物を見極め、これを避けることが重要です。
2-3.マラセチア皮膚炎とは
では、次にマラセチア皮膚炎について。
マラセチアとは、もの凄く生命力が強い「カビ」のことで、これが原因として発症してしまう皮膚病が「マラセチア皮膚炎」です。
特に日本は高温多湿で、夏場は特に、このマラセチアが発生しやすいです。
また、マラセチアは「皮脂」を栄養源に生息するので、シーズー、チワワ、プードル、コッカー・スパニエル、ウエスト・ハイランド・ホワイトテリア、パグなどで発生しやすいと言われています。
2-4.膿皮症
続いては、膿皮症について。
膿皮症は、ブドウ球菌が原因として発症する皮膚病です。
ブドウ球菌は人間の皮膚にも、ワンちゃんの皮膚にもいる普通にいる常在菌で、本来は健康な菌なのですが、様々なきっかけによって、免疫力が低下すると、このブドウ球菌が悪玉化して、攻撃を始めてしまいます。
他の皮膚病と同様にかゆみを発生させ、最終的には、皮膚が膿だらけになってしまいます。
膿というのは、ブドウ球菌と戦うことによって発生した、免疫細胞の死骸です。
免疫力が下がると、免疫細胞が負けていくので、それによって膿が広がってしまうのです。
また、ブルドッグやパグなど、顔に深いひだをもつ犬種は、その部分に細菌がたまりやすくなるため、膿皮症になりやすい傾向があります。
2-5.寄生虫による皮膚病
続いては、寄生虫による皮膚病について。
寄生虫の代表的なものは、ノミと疥癬(かいせん)ですね。
まず、ノミの繁殖力はとても強くて、1回血を吸うと、数日後には卵を産んで、その卵が20日後には成虫になるという具合に爆発的に増えるんです。
また、ノミは、1回血を吸った動物を追い続けると厄介な性質もあります。
ノミを駆除するために市販でノミ取り用の首輪が売られていたりしますが、ああいった製品は安いのですが、ほとんど効かない場合が多いので、おすすめは、動物病院でノミ取り首輪か薬を獣医から買うことをお勧めします。
次に、疥癬(かいせん)というのは、感染力が非常に強いダニの一種で、それに噛まれると、小さいカサブタができて、全身に異常なかゆさと脱毛症を起します。
疥癬を持っている犬や猫とよく舐めあったりとか、ドッグランで一緒に走ったりすることなどで、感染します。
かゆみとしては、皮膚病の中でも最強クラスです。
2-6.ホルモン異常による皮膚病とは
次に、ホルモン異常による皮膚病について。
この皮膚病は少し特殊で、他の皮膚病のようなかゆみは発症せず、甲状腺機能の低下によって、基礎代謝が落ち込み、毛が抜けていくというものです。
プードルやダックスフンド、ビーグル、ボストン・テリアなどが発症しやすいと言われています。
3.犬の皮膚病を調べる方法
その前段階として、飼ってるワンちゃんの皮膚を見て、
- 赤いブツブツ
- 腫れ
- 水疱
- 膿
- 脱毛
- ふけ
- ただれ
- かさぶた
- 臭い
- ベタつく
などの症状が出てきて、明らかに「普段とは違うな」と感じた場合は、動物病院に行った方がいいですね。
皮膚病は複合的に併発している場合が多く、自己診断で、どの皮膚病にかかっているのか特定するのは、非常に難しいです。
例えば、「赤いブツブツ」ができていたとしても、アレルギー反応が出て赤くなっている場合もあれば、かゆみで掻いてしまって赤くなっている場合もあります。
まずは、「かゆみ」を感じているかどうかが重要です。
特に、患部を頻繁に掻いたり、手先を舐めたりしまっている時は、早急に連れていった方がいいですね。
そこから自分で噛みついたりすることで、どんどん症状が悪化していくので。
あとは、明らかに「臭いな」と感じる場合も注意が必要です。
「臭い」と感じる原因は、免疫力が低下し、最近が皮膚の上で繁殖してしまっているからで、独特な「濡れ雑巾」のような臭いがします。
その場合は、膿皮症にかかってしまっている可能性が非常に高いです。
4.犬の皮膚病の治療法
4-1.動物病院で治療する
まず、大前提として、皮膚病は、様々な原因が複雑に絡み合ってるのと同時に、症状も併発している可能性があるので、動物病院にかかることが大切です。
治療方法としては、原因が特定しやすく、治しやすいものから治していくのが王道です。
例えば、皮膚病を発生させている原因が、細菌(ブドウ球菌など)、カビ(マラセチアなど)、寄生虫(ダニ、ノミ)だったら、薬や薬用シャンプーで治せることが多いです。
どんな薬を使うのか、どんな薬用シャンプーをどんな頻度によって使えばいいのかは、病状によって変わるので、ここは獣医の先生に聞くのがベストです。
まずは、確実に治せるものから取り組み、他の症状に向き合っていくという流れになります。
完治が困難なのが、アトピー性皮膚炎と食物アレルギー性皮膚炎です。
あまりにも痒みがひどくて、日常生活に支障をきたすような場合は、ステロイド剤などを打ってみて、様子を見つつ、避けられる原因は避けて、薬用シャンプーなどで、皮膚のケアをしてあげることが大切になります。
探し方としては、「地域名+皮膚病」というようなキーワードを入れて、動物病院を探しましょう。
皮膚病の治療が得意な先生は、大抵の場合、ホームページに皮膚病の症例を載せています。
他には、その先生が「獣医皮膚学会」に入っていると更に安心ですね。
また、JAHA日本動物病院福祉協会とかに入っているような先生たちは能力が高い人たちが多いです。
4-2.室内環境を整える
まずは、湿度調節ですね。
高温多湿だとカビが発生しやすくなるので、6月から9月の室内の湿度を除湿機やエアコンを使いながら、湿度を50%に調整した方がいいです。
そして、カーペットはできるだけ毛足の短いものを選ぶといいでしょう。
毛足の短いカーペットだと、ハウスダスト・カビ・ダニが発生しにくいので。
また、今はどこの家もフローリングが多いと思いますが、掃除の際はできるだけ化学的な薬剤は使わない方がいいです。
理想は、ロボット掃除機を利用して、常に綺麗な環境を保ってあげることが大切です。
4-3.皮膚病に有効な食事について
皮膚病にかかってるワンちゃんの食事で重要になってくるのが、食材の鮮度です。
食材が新鮮でないと、最近が繁殖してしまい、それが皮膚病を悪化させてしまいます。
例えば、私も獣医師として開発した、皮膚病のワンちゃんのための療法食があるのですが、これも食材の鮮度を特に重視して開発しました。
このフードの動物性タンパク質は、低アレルゲンで、高タンパクのオーストラリア産のカンガルー肉なのですが、これも鮮度命で処理しており、捕獲して、2時間以内に冷凍したものしか使っていません。
人が食べる牛肉は、1週間くらい吊るして放置して、熟成させたりするのですが、そうすると細菌が残りやすくなってしまいます。
また、オーストラリア産のカンガルー肉は、世界で最も厳しい基準で管理されており、飼育ではなく、野生なので抗生物質などは使われていません。
また、お米や小麦などの穀物も、外皮に細菌がついてるので、そこの部分をまるっときれいに剥がした後、すぐに細菌がほとんどいない状態で蒸して粉にして、それをフードに使っています。
また、このフードは、保存料、着色料、香料、乳化剤といった添加物も一切入っていません。
皮膚病を患っている子は、とにかく免疫力が落ちているので、体内に人工的な異物はできるだけ入れない方がいいでしょう。
また、免疫力を高めていくには、腸内環境を整えていくことも非常に重要です。
腸内環境が悪化してしまうと、悪玉菌の勢いが強まり、善玉菌が弱くなってしまいます。
なので、腸内環境を整えるため、乳酸菌の餌となるオリゴ糖と21種類の生きた乳酸菌を配合しました。
乳酸菌は最初にフードに混ぜると熱で死滅してしまう為、フードが出来上がってから加えています。
このフードは、皮膚病で苦しむワンちゃんのことを第一に考えて、獣医師の私が、世界中から素材を厳選し、作り方も本当にこだわって作ったので、ぜひ試してもらいたいですね。
最後に
ぜひ、今回の記事が、皮膚病のワンちゃんをお持ちで、苦しい思いをされている飼い主の皆様のお役に立つことができれば幸いです。
では、またお会いしましょう!
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