「うちの子がずっと身体を痒がっている…」
「犬が皮膚を痒がるときはどうしたらいいんだろう…」
「犬が痒がる原因が知りたい…」
わんちゃんが身体を痒いているのは、よくある光景ですが、あまりにも執拗に痒がるのは飼い主さんにとっては心配ですよね。
犬が皮膚を痒がる原因は、もしかすると病気のサインかもしれません。
放置しておくと、皮膚の痒みが悪化して、わんちゃんがストレスを感じてしまうため、早期に対策が必要です。
今回は犬が痒がるときの原因や対策について、獣医師であり著者の宿南章(しゅくなみあきら)先生をお招きして、詳しく聞いてみることにしました!
1.犬が皮膚を痒がるのと併発する症状
1-1.犬の皮膚の痒みのサイン
飼い主さんは、わんちゃんが身体を掻いている姿を見て、痒がっているのを感じることができると思います。
でも実は、身体を掻くという行為以外にも、わんちゃんが痒みを感じているのが分かるサインがあります。
それは、
- 噛む
- 舐める
- 擦り付ける
などです。
皮膚の痒みが強すぎて、つい噛んでしまうこともありますし、皮膚が気になってぺろぺろと舐めているときも痒みがある可能性があります。
自分で掻くことができない部位のときには、身体を壁などに擦り付けたりすることもあります。
身体を掻く以外にも、このような行為が見られるときは、痒みがあって皮膚にトラブルが起きている可能性があるので、繰り返している場合はわんちゃんの身体を注意深く見てあげたほうがいいでしょう。
1-2.皮膚の痒みと併発する症状
人間でもそうですが、皮膚にちょっとした痒みが出るときはよくあります。
少しだけ掻いて治まるようなら、特に気にする必要はありません。
でも、もし犬の身体に何らかの問題が発生している場合は、身体を掻いたり、先ほど説明した痒みがあるときのサイン以外に皮膚にも症状が出てきます。
具体的には、
- 赤み
- 湿疹
- フケ
- 化膿・出血
- かさぶた
- 脱毛
などの症状です。
痒がるということは、皮膚に炎症を起こしているということなので、皮膚自体が赤くなってきます。
また、皮膚の表面に赤く盛り上がったブツブツ(湿疹)ができたり、皮膚に大きなフケが目立つこともあります。
画像出典:https://mscc-qs.jp/skincare-guide/
フケというのは、ターンオーバーによって、古くなって剥がれ落ちた角質細胞のことで、健康な皮膚でもフケは出るのですが、皮膚にトラブルがあると大きく目立つようになってくるんです。
もう少し掘り下げて説明すると、ターンオーバーというのは、皮膚の新陳代謝のことで、古い細胞が新しい細胞へと変わっていくことを指しています。
新しい細胞は皮膚の深部から生まれて、古い細胞は新しい細胞に押し上げられて、皮膚の表面に現れて、やがて剥がれ落ちていきます。
この皮膚表面に押し上げられる古い角質細胞が、フケですね。
通常はフケがあっても小さくて目立たないんですが、皮膚トラブルを起こしていると、ターンオーバーにも異常を来してしまうので、皮脂が過剰に出たり、皮膚が乾燥したりして大きなフケが出てきます。
皮膚の炎症がもっとひどくなってくると、掻きすぎて出血したり、皮膚に傷ができて化膿してしまうこともあります。
そして傷の表面が乾燥していくと、かさぶたになっていきます。
そして、皮膚の痒みがひどくて掻き毟ってしまった場合、その部分の毛が抜けるということも起こってきます。
このように、犬の皮膚にトラブルがあると、痒がるのと同時に皮膚の表面上にも症状が現れてくるんです。
2.犬が皮膚を痒がる原因
わんちゃんが痒がるということは、皮膚に何らかのトラブルが起きているということです。
犬に痒みが起こる原因は幅広く、あまり問題視しなくてもいいものから、皮膚病が原因となっているものまで様々です。
犬が痒がる原因となる、主なものを説明していきます。
2-1.換毛期
換毛期というのは、わんちゃんの毛が生え変わる時期のことで、この時期にはたくさんの毛が抜けるんですね。
ダブルコートという上毛と下毛の二重構造の毛を持っている犬種の場合は、換毛期というのが春と秋の年に2回ほどあります。
春には暑くなる時期に向けて毛量を減らし、秋には寒くなる時期に向けて、保温性の高い毛に変わるようになっています。
この換毛期にうまく毛の生え変わりが行われないと、通気性が悪くなり、毛玉などができたりして、細菌や雑菌繁殖の原因になります。
日本の場合、梅雨のじめじめとした時期は、ただでさえ通気性が悪くなり、雑菌繁殖しやすい時期です。
このような時期に、うまく毛が生え変わらないと、皮膚に雑菌が繁殖した結果、炎症を起こして、犬が痒がる原因になってしまいます。
特に、
- チワワ
- ミニチュア・ダックスフンド
- ポメラニアン
- 柴犬
- フレンチ・ブルドッグ
- ジャックラッセル・テリア
- パグ
- ラブラドール・レトリーバー
- ゴールデン・レトリーバー
- ウェルシュ・コーギー
などのダブルコートの犬種は換毛期による皮膚トラブルが起きやすいので、注意が必要です。
ただ、シングルコートの犬でも、トイ・プードルなどのカールした毛を持つ犬種は、抜けた毛が生えている毛に絡まって落ちないと通気性が悪くなることもあるので、ダブルコートの犬種同様に注意が必要ですね。
2-2.乾燥
肌が乾燥すると、皮膚がかさついて痒みの原因になります。
わんちゃんの皮膚は、人間の皮膚よりも薄くてデリケートなため、皮膚トラブルを起こしやすいんです。
冬の乾燥する時期や、室内でエアコンを頻繁に使う場合は、皮膚の乾燥に注意しなければいけません。
犬の皮膚が乾燥すると、痒みのほかフケが出てきたり、毛の艶がなくなったりします。
また、単なる空気の乾燥だけでなく、偏った栄養の食事(フード)を食べ続けることで、バランスを崩して皮膚が乾燥しやすくもなります。
犬の皮膚が特に乾燥しやすい部位は、
- お腹周り
- 足の付け根
- 肉球
などです。
このような部位は、毛に覆われておらず、皮膚が露出しているところなので、乾燥しやすいんですね。
わんちゃんの皮膚が乾燥していないかどうかは、このような部位をチェックしてみるといいでしょう。
2-2.虫刺され
ノミ・ダニ・蚊などの虫に刺されたことで、犬が痒がることもあります。
人間でも、このような虫に刺されると、皮膚に痒みが発生するので容易に想像ができるでしょう。
これらの虫は動物の血を吸って生命を維持しているのですが、その虫が動物の皮膚を刺す際に不着する唾液成分へのアレルギー反応によって、痒みが起こると言われています。
ノミは繁殖力が高く、あっという間に増えてしまうので、犬の身体にノミを発見したときは早期に対処が必要です。
また、わんちゃんの身体に寄生しているということは、室内にも数多く存在する可能性があるので、注意しなければいけません。
ダニについては、色々な種類のものが存在しますが、中にはアレルギーの原因となるダニもあり、犬が刺されてしまうと、とても厄介です。
2-3.シャンプーのすすぎ不足
家庭でわんちゃんをシャンプーすることがありますが、シャンプーの成分が身体に残ったままになっていると、痒がる原因になります。
シャンプーは元々、洗い流すのが前提として作られているので、皮膚に残ったままになると、皮膚トラブルを起こしてしまいまうんです。
身体を清潔に保つことは、犬の皮膚にとっても良いことではありますが、すすぎ残しがあると、かえって皮膚トラブルの原因になるため、シャンプーの際はしっかりすすぎをすることを心がけましょう。
2-4.ストレス
犬が痒がる仕草をするときには、ストレスが原因になっていることがあります。
わんちゃんにとって良くないこと、例えばしつけや慣れない場所に長時間いるときなどが考えられますが、ストレスだと感じたときにわんちゃんが痒がる仕草をすることがあるんですね。
その場合は、本当に痒がっているというわけではなく、身体を掻いたり舐めたりして、自分を宥めるためにそのような仕草をするのだと言われています。
ただ、もともと皮膚病があって、ストレスによって痒みが悪化するケースもあります。
2-5.病気
犬が痒がる原因には、皮膚に病気が発生している場合もあります。
2-5-1.アレルギー
犬が痒がる原因で多いのが、アレルギーによる痒みです。
動物の身体には、免疫システムが備わっていて、普段は体内に入り込むと良くない異物から身体を守っています。
アレルギーというのは、この免疫の働きが異常を起こして、特定の異物に過剰に反応してしまい、痒みなどの症状を起こさせるものです。
アレルギーを引き起こす原因となるものとしては、
- 花粉
- ハウスダスト
- カビ
- ウィルス
- ダニ
- 特定の食べ物(牛肉など)
などが挙げられます。
2-5-2.犬アトピー性皮膚炎
犬アトピー性皮膚炎は、アレルギー性皮膚炎の一つです。
痒がるわんちゃんの中には、アトピー性皮膚炎を持っている子がいる可能性があります。
アレルギー性皮膚炎は、ダニや花粉などがアレルゲン(アレルギーを起こす原因となる物質)となって、免疫機能が過剰に反応してしまうことで起こります。
アトピー性皮膚炎を発症した犬は、痒みがひどく、皮膚に炎症を起こすことはもちろん、色素が沈着してしまったり、脱毛することもあります。
犬のアトピー性皮膚炎は、遺伝的要素が関係していて
- 柴犬
- フレンチ・ブルドック
- シーズー
- ウェストハイランド・ホワイトテリア
などの犬種が、アトピー性皮膚炎にかかりやすいと言われています。
2-5-3.外耳炎
犬が痒がる部位は、身体の表面だけでなく、耳の場合もあります。
耳の穴から鼓膜までつながるところを耳道というのですが、外耳炎というのは、その耳道に炎症が起こったものです。
炎症が起こると、耳をしきりに痒がったり、赤く腫れて湿疹ができることもあります。
耳に炎症が起こる原因については、
- 細菌・カビの繁殖
- 寄生虫
- アトピー
などが考えられます。
犬に外耳炎が起きて痒がるときは、掻くという行為以外に、頭を振るなどの仕草を見せることもあります。
2-5-4.皮膚感染症(マラセチア皮膚炎・膿皮症・皮膚糸状菌症・疥癬)
犬が痒がる原因となる病気で多く見受けられるのは、皮膚感染症です。
皮膚感染症には様々な種類があるので、一つずつ説明していきます。
- マラセチア皮膚炎
マラセチア皮膚炎は、マラセチアという犬の皮膚に常在している真菌(カビの一種)が異常繁殖することによって発症する皮膚病です。
マラセチア菌は犬の皮脂を餌として増殖するので、皮脂が多く分泌されたり、抵抗力が落ちた時に発症します。
湿度の多い梅雨の時期や、脂肪分の多く含まれた食事(フード)を日常的に摂取しているわんちゃんの場合は、皮脂が多く分泌されて、マラセチア皮膚炎にかかりやすくなります。
犬が痒がる以外に、皮膚がべたついたり、体臭が気になる場合は、マラセチア皮膚炎が起きている可能性があります。
マラセチア皮膚炎について詳しく知りたい方は「犬のマラセチア皮膚炎の症状とは?原因や治療法について獣医師先生に聞いてみた!」をチェックしてください。
- 膿皮症
膿皮症は、ブドウ球菌などの細菌感染が原因で起こる犬の皮膚炎です。
ブドウ球菌もマラセチア菌と同様に、犬の皮膚に常在している細菌の一つで、ブドウ球菌が異常に増殖することで発症します。
ブドウ球菌が異常に増殖する原因としては、根底にアレルギーや内科的な疾患が潜んでいることが考えられます。
膿皮症では痒がる以外に、皮膚の赤みや湿疹ができたり、皮膚が化膿したりします。
膿皮症について詳しく知りたい方は、「犬の膿皮症とは?症状や原因や予防方法ついて獣医師先生が詳しく解説!」をチェックしてください。
- 皮膚糸状菌症
糸状菌という真菌(カビの一種)に感染して、そこから糸状菌が増殖して起こるのが、皮膚糸状菌症です。
画像出典:http://www.kashii-pet.jp/blog/2016/05/post-66-1298062.html
すでに皮膚糸状菌症に感染しているわんちゃんと接触したり、汚染した用具などから感染すると考えられています。
健康なわんちゃんでは、皮膚糸状菌症にかかることは稀ですが、子犬だったり、免疫力が落ちている犬の場合、皮膚糸状菌症にかかりやすいです。
皮膚糸状菌症を発症した犬の症状としては、痒がる以外に皮膚の赤みやフケ、かさぶたなどがあり、皮膚糸状菌症の症状の最大の特徴は、円形の脱毛が現れることです。
- 疥癬(かいせん)
疥癬は、犬の皮膚病の中でも激しく痒みが出る病気の一つです。
ヒゼンダニというダニによって引き起こされる、伝染性の感染症です。
ヒゼンダニは、皮膚の表皮に寄生して、穴を掘ってトンネルを作り、そこに卵を産むことで、どんどん繁殖していきます。
犬の皮膚に痒みが起こる原因は、ヒゼンダニの糞や分泌物だと言われています。
疥癬はとにかく非常に痒みが強いので、夜も眠れなくなったりと、わんちゃんにとってはかなりのストレスになります。
痒がる以外にも、皮膚の炎症やフケなどが発生します。
また、痒みが強いため、皮膚の表面に掻き傷や噛み傷ができてしまったり、脱毛することもあります。
さらに、傷口から細菌感染を起こしてしまうこともあります。
2-5-5.自己免疫性疾患
犬が痒がる原因は、皮膚自体に問題がなく、内科的な疾患による場合もあります。
自己免疫性疾患というのは、免疫機能に異常を来して、本来であればウィルスなどの有害なものを攻撃するべきところを自分の細胞や組織を攻撃してしまうことで発症する病気です。
健康な臓器や皮膚などが攻撃されると、その部分に病気を発症させてしまうんですね。
皮膚が攻撃されると、炎症を起こして痒みなどの症状が出てきます。
3.犬が痒がる場合の検査法
3-1.皮膚検査
犬が皮膚を痒がるときは、まず皮膚の状態を確認します。
痒みや赤みというのは、ほとんどの皮膚病で出現するので、状態を確認した上で検査を行っていきます。
皮膚の検査では、主に
画像出典:http://www.izumi-animalhospital.com/hifu/
- セロハンテープ・スライドガラス検査
- 抜毛検査
- 掻把(そうは)検査
などを行います。
皮膚にセロハンテープやスライドガラスなどを擦り付けて、皮膚炎の原因となるマラセチアやブドウ球菌などが増殖していないかを顕微鏡で検査します。
抜毛検査は、わんちゃんの毛を抜いて、寄生虫や真菌に感染していないかを調べる検査です。
掻把検査は、皮膚の表面を少し掻き取って、皮膚にヒゼンダニなどがいないかを顕微鏡で観察します。
このような検査では、感染症の有無を調べることができます。
3-2.アレルギー検査(血液検査)
犬が痒がる原因で多いのが、アレルギーによる皮膚炎です。
そのため、皮膚の検査で特に異常がなければ、アレルギーの検査も行うことになります。
もちろん、感染性の皮膚炎でもアレルギーを併発していることはよくあるので、皮膚の痒みでは血液検査も行うことが多いですね。
血液を採取して、どんな食べ物や物質にアレルギー反応を起こす可能性があるのかをチェックします。
アレルギー検査をしてみると、意外と飼い主さんも知らないうちにわんちゃんがアレルギーを持っていたということもあるので、皮膚を痒がるときには有用な検査です。
また、内科的な疾患が疑われる場合も、血液検査を行って異常がないかを調べたりします。
3-3.真菌培養検査・ウッド灯検査
真菌培養検査とウッド灯検査は、主に皮膚糸状菌症が疑われるときに行う検査です。
感染しているのが疑われる毛を採って、特殊な検査キットの入れて、真菌が増殖するかどうかを顕微鏡で確認します。
真菌培養検査は2週間ほどかかるので、ウッド灯検査も行います。
ウッド灯検査というのは、特殊なライトを皮膚に当てる検査です。
ライトを皮膚に当てると、皮膚糸状菌が出す物質に反応して、その部分が光るというもので、ライトに反応している部分に感染があるというのが分かります。
4.犬が痒がる病気の治療法
犬が皮膚を痒がるのには、色々な原因があります。
そのため、まずは何故かゆみが生じているのか原因をハッキリさせて、その上で治療を行います。
原因が分からなければ、症状が改善しないケースもあるからです。
それを大前提として、痒がるときの治療法は
- 投薬
- シャンプー
- 食事管理
です。
投薬に関しては、皮膚の炎症や痒みを抑えるために、ステロイド剤を使います。
そして、感染症の皮膚炎が原因の場合は、抗生剤や抗真菌薬を与えますし、アトピー性皮膚炎や自己免疫性疾患では免疫抑制剤を使います。
内服薬以外にも外耳炎などでは、外用薬を使うこともありますね。
ノミが寄生してしまっている場合は、駆除剤を使います。
また、マラセチア皮膚炎などの感染性皮膚炎では、薬用シャンプーを使って身体を洗うことも治療の一つになります。
あとは、食事の管理が大切です。
アレルギー性皮膚炎の場合、食べ物でアレルギーを起こしていることが分かれば、その食材が使われたフードは今後食べることができないので、フードを変える必要があります。
5.犬が痒がる時の予防・ケア方法
わんちゃんが皮膚を痒がるときは、皮膚病や内科的疾患が原因の場合もありますが、一時的に痒みを感じているだけの場合もあります。
病気の場合は治療しなければ治すことはできませんが、日ごろからご家庭で皮膚病などにならないように予防することは、ある程度可能です。
5-1.皮膚のチェック
犬が痒がるときは、皮膚をチェックすることが大切です。
痒がる以外に皮膚に赤みや湿疹がないか、フケや脱毛がないかなど、見た目に異常がある場合は、すぐに動物病院で診察してもらうことをおすすめします。
また、皮膚病にならないように予防するためには、お腹や股など、排泄物で汚れやすい部分は普段からこまめに汚れを落としてあげることで、細菌などの感染を防ぐことができます。
暑い時期など、わんちゃんは身体が毛で覆われていて蒸れやすいので、皮膚にトラブルが起きていないか毛を掻き分けて地肌をチェックしてあげましょう。
5-2.ブラッシング
ブラッシングは、皮膚の異常に一早く気付ける機会でもあります。
ブラッシングが不十分だと、抜けた毛が生えている毛に絡まってしまうこともありますし、毛玉になってしまうこともあります。
そうなると、通気性が更に悪化して、細菌や雑菌繁殖の原因になります。
先に説明したように、ダブルコートを持つわんちゃんは換毛期があるので、特に注意が必要です。
毛玉ができてしまっている場合は、無理にほぐそうとせずに、トリマーさんにお願いするほうがいいでしょう。
なぜかと言うと、痛みを伴った場合、わんちゃんがブラッシング嫌いになりかねないからです。
日常的にブラッシングをすることで痒がるのを予防することも可能ですが、もし皮膚病になってしまった場合も、清潔に保つという意味でもブラッシングは大切なケア方法です。
5-3.シャンプー
身体が清潔に保たれていないと、犬が痒がる原因になります。
ただ、だからと言って、あまりに頻繁にシャンプーをするのも逆効果です。
一般的な犬のシャンプーの頻度は、1ヶ月に1度ぐらいとされています。
また、間違ったシャンプーは皮膚の痒みを誘発する可能性があります。
シャンプーでの注意点としては、
- 爪を立てて洗わない(指の腹で洗う)
- シャンプー剤を使いすぎない
- ぬるめのお湯で洗う(37度ぐらい)
- しっかりすすぐ
この4点が挙げられます。
わんちゃんの皮膚は薄いので、ゴシゴシ洗うと皮膚を傷つけてしまいます。
シャンプー剤が身体に残ったままになると、皮膚を痒がる原因になるので、シャンプー剤を使いすぎず、しっかり洗い流すことを心がけましょう。
人間ではぬるいと感じる温度が、わんちゃんにとっての適温になります。
熱過ぎるお湯は皮膚の乾燥を招いて、痒みの原因となるので、必ず適温を守るのがポイントです。
また、マラセチア皮膚炎をはじめとする皮膚病を発症してしまったら、薬用シャンプーでケアしていくことになります。
その場合は、シャンプー剤は薄めずに塗り込むような感じで使用しなければいけません。
治療でシャンプーが必要になったときは、獣医師と相談しながら行いましょう。
5-4.保湿
皮膚が乾燥していると、痒がる原因になります。
そのため、皮膚が乾燥しがちなわんちゃんには、ローションなどで保湿してあげることも大切です。
保湿を行うと、皮膚のバリア機能が強化されるので、皮膚病の予防につながります。
冬場の乾燥しやすい時期は、部屋の湿度にも併せて気を付けるべきです。
5-5.虫予防
蚊・ノミ・ダニなど、虫に刺されると、皮膚に痒みが発生してしまいます。
ノミやダニなどは、アレルギーを引き起こしたりするので、虫除けを徹底することで皮膚の痒みを予防することができます。
ノミやダニが家に持ち込まれないようにするのが一番いいのですが、ノミやダニは簡単に室内に侵入してしまいます。
そこで、ノミやダニが入り込んだとしてもすぐに除去できるように、こまめに掃除機をかけて、部屋を清潔に保つようにしましょう。
部屋の掃除以外にも、犬のベッドや毛布など、普段よく使用している物も定期的にお湯で選択をして、しっかり乾燥することが大切です。
万が一、わんちゃんの身体にノミを見つけたときは、ノミ取り櫛を使ったり、ノミ取りシャンプーで身体を洗ってあげることが有効です。
ただ、ノミやダニを見つけたときは、自己判断で駆除剤を使用するのではなく、早めに動物病院に行って、適切な対処をしてもらうのをおすすめします。
5-6.食事ケア
犬が痒がるときは、食事管理がとても重要です。
皮膚の痒みの原因がアレルギーやアトピーであることもあるので、その場合にはアレル元ギーの元となる物質を排除しなければ、痒みを止めることができません。
わんちゃんが何度も痒みで辛い思いをしないように、痒がるときは食事(フード)を見直してみましょう。
例えば、私が開発した「GF皮膚の健康ケアサポート」というフードがあるんですが、皮膚トラブルを持つわんちゃんのために、低アレルゲンのカンガルー肉を使用して作っています。
また、低脂質のフードなので、皮脂の過剰分泌を抑えたいマラセチア皮膚炎のわんちゃんにも安心して与えることができます。
6.最後に
ぜひ、今回の記事が、皮膚に痒みのあるわんちゃんをお持ちで、苦しい思いをされている飼い主の皆様のお役に立つことができれば幸いです。
では、またお会いしましょう!
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