「最近、愛犬に赤いブツブツができて痒がる」
「犬の膿皮症(のうひしょう)とはどんな病気?」
「犬の膿皮症の治療や予防など対処の仕方を知りたい」
愛犬が痒がったり痛そうにしていると、飼い主さんもつらいですよね。
膿皮症は犬の皮膚病の中でも、一番なりやすい病気のひとつだと言われています。
さらに、膿皮症はなかなか治らず、再発を繰り返す厄介な病気です。
今回はそんな犬の膿皮症について、獣医師であり著者の宿南章(しゅくなみあきら)先生をお招きして、詳しく聞いてみることにしました!
1.犬の膿皮症とは
犬の膿皮症とは、皮膚に常在するブドウ球菌が異常繁殖することが原因で起こる皮膚病です。
犬の皮膚には体を守るために常在菌と呼ばれるブドウ球菌がいますが、健康な状態であればブドウ球菌が悪さをすることはありません。
ブドウ球菌は外部からの病原体の侵入を防ぐ、バリアの役割も持っています。
しかし、様々な原因によって免疫力が低下し、皮膚のバリア機能が低下すると、ブドウ球菌が異常に増殖し皮膚を攻撃し始めます。
さらに、皮膚から体内にも侵入してしまいます。
ブドウ球菌と免疫細胞の戦いにより炎症が起き、免疫細胞が死滅していくことで皮膚や毛穴などが膿んでいきます。
膿はブドウ球菌と戦うことによって発生した、免疫細胞の死骸です。
画像出典:https://ameblo.jp/leon-ah/entry-11387381602.html
赤いブツブツやニキビのような発疹が出来たり、ドーナツ状の黄色いフケやかさぶたが出来たりと、膿の溜まった湿疹が出るのが特徴です。
膿皮症は1か月ほどの治療で完治する場合もありますが、治療が長引いたり数か月後に再発したりと、厄介な病気でもあります。
また、症状がひどくなると夜眠れないほどの強い痒みや痛み、発熱を伴うことも。
膿皮症ができる場所は主に
- 背中や腹
- 足の付け根
- 耳の裏
- 皮膚のしわ
- 顎
- 唇
- 外陰部のひだ
- 指の間
などで、1か所に限定されていることもあれば、あちこちに幅広く発症することもあります。
また、全身を舐めることでも広がるため、愛犬に赤いブツブツを発見したら、早めに病院を受診することをおすすめします。
2.犬の膿皮症の種類や原因や症状について
2-1.犬の膿皮症の種類について
犬の膿皮症は、ブドウ球菌の異常発生によって起こる病気です。
何かしらの要因で免疫力が低下する→皮膚のバリア機能が低下する→ブドウ球菌が異常に増える
というイメージです。
犬の膿皮症は症状の進行具合と炎症の起こる深さで、3種類に分けられます。
- 表面性膿皮症(ひょうめんせいのうひしょう)
- 表在性膿皮症(ひょうざいせいのうひしょう)
- 深在性膿皮症(しんざいせいのうひしょう)
画像出典:https://www.koinuno-heya.com/byouki/kankakuki/skin/nouhisyou.html
2-1-1.表面性膿皮症について
表皮の一番上にある角質層に発生した膿皮症で、皮膚の上で細菌が増殖している皮膚炎です。
膿皮症の初期段階で、丘疹(きゅうしん)と呼ばれる1cm未満の赤いブツブツや、膿疱(のうほう)と呼ばれる人間のニキビのような膿が溜まった膨らみが出来ます。
2-1-2.表在性膿皮症について
表在性膿皮症とは、毛包(もうほう)とその付近の表皮に感染が起こっている皮膚炎です。
画像出典:https://www.koinuno-heya.com/byouki/kankakuki/skin/nouhisyou.html
毛包とは毛穴を含む体毛を生やすための細胞の集まった器官で、発毛や皮膚呼吸による水分の発散や、皮脂の分泌を体内から体外へおこなっています。
ブドウ球菌が異常に増殖することで、毛の根元の角質層や、毛包と毛包の間に細菌が入り込んで広がってしまいます。
小さなニキビのようなブツブツに膿が溜まり始め、溜まった膿が破れてしまい、ドーナツ状のフケやかさぶたが出来ます。
また、脱毛も起こります。
膿皮症の中で一番多くみられる症状で、痒みを伴います。
2-1-3.深在性膿皮症について
深在性膿皮症は毛包全体や、真皮、皮下組織まで感染が広がっている皮膚炎です。
毛包を中心とした皮膚の深い部分に見られる強い炎症で、しこりのある「おでき」が出来ます。
更に深い皮下組織まで炎症が到達すると、蜂窩織炎(ほうかしきえん)という状態になります。
蜂窩織炎とは真皮から皮下組織に膿が溜まる炎症で、皮膚が赤くなったり、腫れ上がったりします。
さらに、腫れ上がった部分は熱を持ち、かなりの痛みを伴います。
炎症が拡大すると発熱や元気の消失、リンパ節の腫れなど全身の症状が見られるようになることもあります。
また、重度の深在性膿皮症では潰瘍(かいよう)が出来ることがよくあります。
潰瘍とは皮膚や粘膜の一部が欠けてしまって、えぐれたような深さがある傷口のことです。
皮膚の傷から細菌が入り、強い痒みを伴い、多量のかさぶたが出来たり、肌が硬くなってごわついたり、患部から出血することも。
また、血液意外にも傷の表面からジュクジュクとにじみ出て来る透明な液体や、膿が出てきます。
潰瘍になった跡は毛包や皮脂腺などの皮膚構造が再生されず、毛が生えません。
2-2.犬の膿皮症の原因について
ではなぜブドウ球菌が増えてしまうのでしょうか。
犬の皮膚は人間の皮膚に比べて
- 表皮の層が薄い
- 皮膚pHが高い(アルカリ性に傾いている)
などの特徴があります。
人間の皮膚の厚さが0.2㎜なのに対し、犬の皮膚は0.05~0.1㎜と薄いため、バリア機能が低下すると皮膚炎が起こりやすくなります。
また、皮膚のpHも人間が平均4.5~5.5で弱酸性なのに対し、犬の皮膚のpHは平均で約7.8と弱アルカリ性です。
画像出典:https://www.houndcom.com/blog/archives/4543
ブドウ球菌は、皮膚が酸性だとおとなしいのですが、アルカリ性だと活発になります。
犬の皮膚はもともと、ブドウ球菌の増殖を抑えにくいのですね。
皮膚の薄さと皮膚表面の環境が影響して、ブドウ球菌が増えてしまいます。
ブドウ球菌が増えるきっかけになる、皮膚のバリア機能が低下する要因として
- 免疫力の低下
- 生活環境
- 擦り傷や噛み傷
- ステロイドの長期投与
- 他の病気
などがあげられます。
2-2-1.免疫力の低下について
免疫力の低下には主に
- 栄養不足
- 睡眠不足
- 運動不足
- ストレス
の4つの要因が関係しています。
まずは栄養不足について。
おやつの与えすぎでメインの食事量が減ると、栄養不足になったり栄養バランスが崩れたりして、免疫力低下につながります。
次に睡眠不足について。
睡眠には自律神経を整えて免疫機能を正常に働かせる役割がありますが、睡眠不足になるとうまく機能が働かないため、免疫力低下につながります。
犬に必要な睡眠時間は、1日平均12~15時間が望ましいとされています。
さらに運動不足について。
運動不足になると体の代謝機能が下がり、血流も悪化します。
血液が免疫細胞を体中に運んでいるため、血流の悪化により免疫力がうまく働かなくなります。
最後にストレスについて。
犬にとっては気温(寒暖差が激しい、または暑すぎる、寒すぎる)や、明るすぎる場所、匂いや騒音などがストレスの原因となります。
また、空腹や運動不足でもストレスを感じ、飼い主との触れ合いが減ることも犬がストレスを感じる原因です。
ストレスを感じると免疫細胞の数が低下するため、免疫の働きが落ちてしまいます。
2-2-2.生活環境について
膿皮症の原因になるブドウ球菌は、温度28℃以上(最も活発に増えるのは35℃前後)、湿度70%以上で増殖しやすいので、梅雨から夏にかけての高温多湿な環境は特に危険だと言えます。
また、不衛生な環境も皮膚にはよくありません。
免疫力が低下した皮膚が不衛生な状態になれば、ブドウ球菌の感染につながる可能性があります。
さらに、不衛生な環境はノミやダニなどの温床にもなり、ノミやダニによる皮膚病の原因にもなります。
2-2-3. 擦り傷や咬み傷について
犬に擦り傷や咬み傷があると、傷口からブドウ球菌に感染してしまいます。
動物による咬み傷は、傷は小さくても口の中の細菌が皮膚の深くに押し込まれていることが多く、化膿を起こすことが多いです。
また、犬が傷を舐めたり掻きむしることによって、症状が悪化したり、全身に広がったりします。
2-2-4.ステロイド薬の長期使用について
ステロイド薬は炎症を抑える作用があり、皮膚病の痒み止めとして使用されます。
しかし、炎症を抑えると同時に免疫力を抑える効果もあるため、長い期間の使用は免疫力を落としてしまいます。
長い期間使用する場合は、効果を見ながら使用量を増減するなどの対処が必要です。
2-2-5.他の病気について
犬の膿皮症は直接的な原因の他に、他の病気による二次感染でも起こります。
膿皮症の原因となる病気は
- ホルモン系の病気
- アレルギー性皮膚炎による二次感染
- ニキビダニ症
- 脂漏症(しろうしょう)
- 糖尿病や肝臓病
などがあげられます。
まずはホルモン系の病気について。
ホルモン系の病気では主に、新陳代謝に関係する甲状腺ホルモン分泌が低下する病気と、炎症や免疫を抑えるホルモン分泌が多くなる病気があります。
甲状腺ホルモン分泌が低下すると、新陳代謝がうまくできなくなるため皮膚のバリア機能が低下します。
また、炎症や免疫を抑えるホルモン分泌が多くなる病気では、免疫力そのものが低下してしまいます。
甲状腺ホルモンの低下による病気は、膿皮症を繰り返す原因にもなります。
つぎにアレルギー性皮膚炎による二次感染ついて。
アレルギー性皮膚炎の中で特にアトピー性皮膚炎が、表在性膿皮症の原因になります。
アトピー性皮膚炎とは環境アレルゲン(アレルギー反応の元)に対する過敏症で、主な症状は痒みです。
環境アレルゲンには、ほこり、ダニ、花粉があります。
そしてニキビダニ症について。
ニキビダニ症は、深在性膿皮症を引き起こす原因になる病気で、ニキビダニと呼ばれる寄生虫が原因で起こる皮膚病です。
最終的には全身かさぶたと膿だらけになり、敗血症(はいけつしょう)を引き起こして命に関わることもあります。
敗血症は免疫力低下により細菌感染し、血流が不足して臓器が機能不全に陥る敗血症性ショックを起こします。
血圧が低下して体温も下がり、死に至ることもあります。
さらに脂漏症について。
犬の脂漏症とは新陳代謝異常や皮脂腺の分泌過剰により皮脂のバランスが崩れ、皮膚が乾燥したり脂っぽくなったりする病気です。
皮脂のバランスが崩れ、皮膚のバリア機能が低下した状態になるため、膿皮症を繰り返してしまう原因になります。
最後に、糖尿病や肝臓病について。
糖尿病や肝臓病など皮膚に影響を及ぼす病気も、膿皮症を引き起こします。
糖尿病になると細菌に対する抵抗力が弱くなるため、感染症にかかりやすくなります。
肝臓病になると肝臓が本来持つ細菌やウイルスなどを排除する働きが弱まるため、免疫機能も低下し、防御反応が妨げられて病気になりやすくなってしまいます。
2-3.犬の膿皮症の症状について
犬の膿皮症では、次のような症状が出ます。
- 赤いブツブツが出来て徐々に増える
- 膿疱(吹き出物)が出来る
- 痒がる様子がみられる
- 皮膚がかさつく
- 発疹部分で脱毛が起きる
- 皮膚が赤くなる
- 皮膚に色素沈着が起きる
- 過剰なフケが出る
- 足先に腫れや膿がみられる
- 潰瘍ができる
- 異臭がする
膿皮症は痒みを伴うため、愛犬が体を掻きむしったり、体を床や地面にこすりつけたりしてる場合は膿皮症が考えられます。
また、膿が伴うため体が臭います。
症状が出る場所は
- 背中や腹
- 足の付け根
- 耳の裏
- 皮膚のしわ
- 顎
- 唇
- 外陰部のひだ
- 指の間
などになります。
2-4.膿皮症になりやすい犬種について
膿皮症はどの犬種でもなる可能性がありますが、皮膚バリア機能が未熟な若い犬や、加齢によりホルモン系の病気になった中齢〜高齢犬に発症しやすいです。
また、アレルギーや体が脂っぽい体質の犬は、膿皮症を繰り返しやすい体質といえます。
膿皮症になりやすい犬種は以下のとおりです。
毛の長い犬種 | シェットランド・シープドッグ (シェルティー)、ゴールデン・レトリーバー、バーニーズ・マウンテン・ドッグ、キャバリア・キングチャールズ・スパニエルなど |
毛が短くて硬い犬種 | ブルドッグ、ボストン・テリア、ジャック・ラッセル・テリア、ミニチュア・ピンシャーなど |
アレルギー性皮膚炎になりやすい犬種 | 柴犬、シーズー、ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリア(ウェスティ)、ダックスフント、トイプードルなど |
脂っぽい体質の犬 | パグ、フレンチ・ブルドッグ、シーズー、 ダックスフントなど |
その他には、ジャーマン・シェパード・ドッグがあげられます。
ジャーマン・シェパード・ドッグだけは遺伝的に原因不明の特発性膿皮症(とくはつせいのうひしょう)という深在性膿皮症になりやすく、3~7歳の壮年期の発症が圧倒的に多いです。
特発性膿皮症とは、潰瘍を伴う原因不明の深在性膿皮症のことで、ジャーマン・シェパード・ドッグに多く発症するため「ジャーマンシェパードドッグ膿皮症」とも呼ばれます。
3.犬の膿皮症の検査について
膿皮症の検査では主に
- 視診
- 皮膚の細菌を顕微鏡で観察
- 皮膚細胞の病理検査
- 細菌培養検査
- 薬剤感受性検査
が行われます。
まずは、皮膚の状態を確認するために、目視での診察を行います。
次に、皮膚の細胞や膿を採取してスライドガラスやセロハンテープなどを使い、細菌や炎症性細胞の状態を顕微鏡で確認します。
また、よく似た症状の皮膚病に、皮膚糸状菌症(ひふしじょうきんしょう)や、ニキビダニ症、疥癬症(かいせんしょう)などがあります。
皮膚糸状菌症とは、カビが原因による皮膚病です。
また、疥癬症(かいせんしょう)とはダニの一種である「ヒゼンダニ」が原因の皮膚病のこと。
これらの皮膚病と区別するために毛を抜いたり、フケを集めたり、皮膚表面の細胞を顕微鏡で見るなどの検査を行います。
この段階で膿皮症と別の病気が疑われると、皮膚細胞の病理検査の必要があります。
病理検査とは、病気の診断や原因の究明のために行われる検査のことです。
治療を継続しても症状が良くならない場合は、原因菌を特定し、どの抗生剤が最も効果があるかを確認するために、細菌培養検査や薬剤感受性検査を行います。
その結果により薬剤を選択します。
細菌培養検査とは、細菌を増やして、どんな菌がいるのかを調べる検査です。
感染症に潜む病原菌を調べるために行われ、菌が特定されればその菌に対する抗生剤(薬)が選びやすくなります。
薬剤感受性検査とは、検出された膿皮症を引き起こしている原因菌に最も効く抗菌薬は何かを明らかにする検査です。
他の皮膚病が合併している可能性が高い場合や、基礎疾患がある場合は
- 血液検査
- ホルモン検査
- アレルギー検査
など状況に応じた検査をする必要があります。
これらの検査を行い、膿皮症かどうかや、膿皮症の進行の具合を診断し、治療を進めていきます。
4.犬の膿皮症の治療について
4-1.動物病院での治療について
膿皮症の診断がされたら、次のような治療を行います。
- 抗生物質の内服
- 薬用シャンプー
- 痒み止め
- 塗り薬
- 基礎疾患の治療
4-1-1.抗生物質の内服について
犬の膿皮症の治療は、内服薬の投与がメインになります。
膿皮症は細菌感染なので、原因になるブドウ球菌にに対して有効な抗生剤を最低でも2~3週間投与します。
症状が良くなっても細菌が潜んでいる場合があるため、3週間は継続することが多いです。
4-1-2.薬用シャンプーについて
また、原因菌に合わせた抗菌性の薬用シャンプーを使用します。
薬用シャンプーの頻度は、治療期間中は週に 2 回程度が推奨されます。
ただし、状態によっては頻度の調節が必要になります。
4-1-3.痒み止めについて
痒み止めには様々な種類があり
- 効き目
- 効き目が出るまでの時間
- 効き目が持続する時間
- 副作用
などを考慮して処方された痒み止めを使用します。
4-1-4.塗り薬について
皮膚の状態によって、抗菌剤が含まれたクリームや軟膏などを使用します。
4-1-5.基礎疾患の治療について
膿皮症を引き起こしている病気の治療を行います。
今出ている症状に対しての治療だけでは、膿皮症が繰り返してしまうことがあります。
膿皮症の原因になっている病気がわかる場合は、同時に治療していく必要があります。
4-2.食事による治療について
犬の膿皮症は、免疫力低下や栄養不足などが大きく影響します。
免疫力の低下を防ぐためには
- 腸の健康を保つ
- 栄養バランスのとれた食事
などを考慮した食事による治療が必要です。
4-2-1.腸の健康を保つ
犬の腸を健康に保つことは免疫力アップにつながるため、腸内環境改善に配慮した食事が必要です。
犬の腸には免疫細胞が約7割あり、腸の状態が良いと、免疫力も高く維持されやすくなります。
そのため、腸内環境を整える、皮膚病のケアを考えた療法食がおすすめになります。
私が開発した皮膚病専用の療法食でも、腸内環境を整えるため、乳酸菌の餌となるオリゴ糖と21種類の生きた乳酸菌を配合して作ってあります。
4-2-2.栄養バランスのとれた食事
犬の膿皮症の原因として、何かの栄養が不足しているケースがあるため、バランスの良い食事が大切です。
特に免疫細胞を作るためには、「たんぱく質」「ビタミン」「ミネラル」などの材料が必要になります。
4-2-2-1.タンパク質
肉や魚、豆などに多く含まれ、犬の体を作るのに欠かせない栄養素です。
不足すると皮膚のトラブルや、免疫力の低下を招きます。
ただし、すでに腎臓や肝臓に疾患を持っている場合は、内臓の負担を軽減するためにタンパク質制限をすることもあります。
また、食物アレルギーを起こす原因の多くがタンパク質であるため、質の良いたんぱく質の摂取が必要になります。
4-2-2-2.ビタミンやミネラル
ビタミンには「たんぱく質」「脂質」「炭水化物」の3大栄養素が十分に機能するよう、サポートする役割があります。
ビタミンが不足すると疲れが取れにくかったり、皮膚が荒れたり、毛づやが悪くなったりします。
特にビタミンAは正常な免疫機能に不可欠で、不足すると感染症にかかりやすくなると言われています。
また、ビタミンCは抗酸化作用があり、免疫力の向上も期待できます。
ミネラルの一つである鉄分は、免疫力に関わる白血球の働きに関係しており、鉄分が不足すると免疫力も落ちることで知られています。
体の外から様々な細菌やウィルスが侵入してくると、まずは体内リンパ球や白血球が出迎えます。
体の免疫機能の最前線に立っているのはこのリンパ球や白血球で、細菌やウィルスを攻撃してくれるのですが、鉄が欠乏しているとこれらの最前線の働きが鈍くなり、感染に対する抵抗力が低下してしまうのです。
4-2-2-3.食物繊維
食物繊維には、善玉菌を殖やしたりして腸内環境を整えてくれるはたらきがあります。
腸内環境を整えることは、免疫力の向上につながります。
4-2-2-4.抗酸化作用のある食材
さらに抗酸化作用を持つ食材も、細胞や組織にダメージを与える活性酸素を抑制し、免疫力を高めてくれます。
私が開発した皮膚病をケアする療法食もありますので、興味のある方はこちらをご覧ください。
5. 犬の膿皮症の予防法について
膿皮症を予防するためには飼育環境や皮膚を清潔に保ち、栄養バランスのとれた食事を心がけましょう。
5-1.飼育環境
エアコンを使って、温度と湿度を調整しましょう。
室温は26℃前後、湿度は50~60%を超えないように、エアコンや除湿器を利用して管理しましょう。
また、使用するベッドやソファー、毛布、カーペットなど室内環境の清浄化も膿皮症予防につながります。
フローリングの床などは、掃除の際はできるだけ化学的な薬剤は使わない方がよいでしょう。
5-2.皮膚を清潔に保つ
シャンプーやブラッシングによる皮膚のケアも膿皮症の予防になります。
皮膚を清潔に保つほか、皮膚病の原因になる寄生虫やノミダニの駆除にも効果があります。
毎日ブラッシングをしてあげましょう。
また、シャンプーをする場合ですが、犬の適度なシャンプーの回数は1カ月に1~2回と言われています。
シャンプー後は、乾燥不足に注意してください。
寄生虫やノミダニの駆除はシャンプーのほか、定期的に動物病院などで予防薬の投与を行うと良いでしょう。
5-3.適度な運動やスキンシップ
運動不足解消を解消することも、膿皮症の予防につながります。
免疫細胞は血液に含まれていますが、運動不足で血液の流れが悪くなると、免疫細胞を体の至る場所に届けにくくなり、免疫力が低下します。
また、スキンシップが足りないと犬はストレスを感じ、免疫力が低下してしまいます。
運動不足解消を兼ねて、愛犬と遊んであげることも膿皮症の予防に効果があるでしょう。
5-4.栄養バランスの取れた食事
膿皮症を防ぐためには免疫力を上げることが必要で、栄養バランスのとれた食事が大切になります。
食物アレルギーによる皮膚病も、皮膚症の原因になります。
アレルゲンを含まない良質なたんぱく質を使った、栄養バランスのとれた皮膚病をケアするフードは、膿皮症の予防につながります。
最後に
ぜひ、今回の記事が、膿皮症のワンちゃんをお持ちで、苦しい思いをされている飼い主の皆様のお役に立つことができれば幸いです。
では、またお会いしましょう!
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