「病院で心臓が大きくなっていると言われた……」
「大きくなった心臓は元に戻るのかしら……」
「心臓に負担がかからないようには何をしてあげたらいいんだろう……」
愛犬の様子がいつもと違い、心配で病院へ連れて行くと、心臓が肥大していますといわれたらとても心配になりますよね。
心臓が肥大といわれても、どういうことなのかよくわからないと感じる方が多いでしょう。
心臓肥大が起きる原因には、弁膜症、遺伝的・栄養的な理由などいくつかありますが、今回は犬で最も頻発する僧帽弁閉鎖不全症を中心に解説します。
今回は、犬の心臓が肥大する病気について、獣医師であり著書の宿南章(しゅくなみあきら)先生をお招きして、詳しく聞いてみることにしました!
獣医師。1969年生まれ。兵庫県養父(やぶ)市出身。 獣医師。日本大学農獣医学部(現日本大学生物資源科学部)獣医学科卒業。
横浜で犬猫の動 物病院に勤務。 西洋医学の限界を感じ、その後、米国の最先端の代替療法を日本に導入している研究所に移籍。
オリンピック銀メダリストなど、プロスポーツ選手の食事アドバイスをしたり、北海道の農 協の依頼を受け、牛のサルモネラダブリン症の治療を行い、 当時抗生物質も効かない病気を 治癒させるなど、数多くの治療実績を持つ。
その後、予防医学に特化した自然療法動物病院を設立し、犬・猫を中心に、国内外から治療 が困難とされた動物の治療にあたる。 その後、ドッグフードとキャットフードの開発を本格的に始め、2015年に著書『薬いらずで、 愛犬の病気は治る』を出版し、Amazon、楽天ブックス、紀伊國屋WEBストアなど、17部門で 1位を獲得。
⒈犬の心臓が肥大するとは?
犬の心臓が肥大するとは一体どういうことなのでしょうか?
1−1. 犬の心臓の仕組みと肥大のメカニズム
心臓は4つに分かれておりそれぞれ名前がついています。
左側に「左心房・左心室」、右側に「右心房・右心室」と呼ばれる各部屋が存在しています。
その中でも犬の心臓が肥大することが多いのは、左側の2つである左心房と左心房と呼ばれる部屋です。
画像出典:https://www.nk-inuneko.com/case/r00020/
心臓の左側にある左心房と左心室は、肺から送られてくる血液を全身へと流す役割があります。
肺から左心房、左心室へと移動した血液は、その後全身に流れていきます。
この時、血液は常に同じ方向にしか流れないようになっていて、通常は乱れることはありません。
それは、左心房と左心室の境に「僧帽弁」と呼ばれるものがあり、ドアのような役割をしてくれているからです。
しかし、僧帽弁が炎症など起こして正常に機能しなくなると、血液が逆流し、通常とは反対の左心室から左心房へと血液が流れていきます。
すると逆流した血液が左心房でだんだんと溜まって肥大していくのです。
肥大することで心臓の負担が大きくなり、動きも弱まっていきます。
そして様々な病気を引き起こす要因となるのです。
また、血液が逆流して心臓が肥大するまでにはある一定の時間を要します。
逆流した血液は少しずつ溜まっていくために、症状がでるまでに時間がかかるのが特徴です。
1−2. 心臓病の種類
心臓病には、後天的な心臓病と先天的な心臓病の大きく分けて2通りあります。
1−2−1.僧帽弁閉鎖不全症について
心臓の病気で一番多いのは、後天的な心臓病である「僧帽弁閉鎖不全症」という病気です。
画像出典:https://www.anicom-page.com/tobyoki/manabu/manabu2_1.html
僧帽弁閉鎖不全症は、僧帽弁が閉じなくなる病気です。
その結果の一つとして、心臓の肥大が起きることがあります。
いずれにしろなかなか症状が見られにくいため、飼い主も気づかないことが多いです。
血液の逆流を止める弁が閉じないため、心臓が頑張って働きます。
その結果、心臓は肥大していきます。
たくさん動いて血液を流そうとするので、心臓にかなりの負担がかかることになります。
そして、この僧帽弁閉鎖不全症が進行するとさまざまな病気をさらに引き起こすことになるのです。
負担がかかった心臓は、だんだんと弱まっていきます。
心臓が弱くなると、血液を送り出す力も徐々に衰えていきます。
しかし、それまでに溜まった血液で心臓は肥大している状態のままとなるのです。
では、この溜まった血液はこの後どこへ向かうのでしょうか。
その場所は「肺」です。
肺に溜まった血液は、そのまま排出されることはありません。
血液が溜まることにより、うまく呼吸ができない状態となります。
この状態になると「肺水腫」と呼ばれます。
画像出典:https://www.wizoo.co.jp/infomation/disease/循環器科/2019/1305/
そして、さらに悪化すると「心不全」という全身に血液を送り出せなくなる状態となってしまうのです。
人間の病気でも同じように心不全があり、死因の上位に上がる病気のため、犬にとっても生死に関わる大きな病気となります。
犬の心臓が肥大することで「僧帽弁閉鎖不全症」になるだけでなく、その後の「肺水腫」そして「心不全」と悪化していく可能性があります。
そのため心臓の肥大は、命の危険も及ぶとても恐ろしいものなのです。
1−2−2. 肺動脈狭窄症について
「肺動脈狭窄症」は先天的な心臓病で、肺動脈が生まれつき狭くなって発症する心臓の病気です。
画像出典:https://www.nk-inuneko.com/case/r00019/
肺動脈狭窄症の「肺動脈」とは右心室から肺へ繋がっている重要な血管のことです。
「肺動脈狭窄症」はこの血管内が狭くなっているために血液がうまく流れない状態となります。
そして血流が悪くなることで、右心室に負担がかかっていくのです。
しかし、血管の狭さの程度によっては、あまり症状が出ることなく過ごせる場合もあります。
ただ、右心室には少なからず負担はかかっているので、心不全などを引き起こすことが多いです。
また、この肺動脈の入り口には逆流を防いでくれる「肺動脈弁」と呼ばれるドアのような部分があります。
しかしこの肺動脈弁がうまく機能せずに、逆流を起こしてしまうことがあります。
それが「肺動脈弁狭窄症」と呼ばれる病気です。
逆流が起こると、右心室へどんどんと血液が溜まっていきます。
正常な流れに戻そうとしても、狭くなった肺動脈ではなかなか追いつけません。
そして、血液が溜まった右心室は肥大していくのです。
肺動脈弁狭窄症の症状も、肺動脈の狭さの程度によってはあまり出ないこともあります。
しかし、重症になると呼吸困難や失神などの症状が見られます。
1−2−3. 動脈管開存症について
動脈管開存症は、犬の先天的な心臓病では一番多い病気です。
画像出典:https://www.nk-inuneko.com/case/r00020/
この病気は、出生後にはなくなるはずの「動脈管」と呼ばれる部分が残ってしまうことで起こります。
まず、体の中を流れる血液は一旦心臓に集められ、肺動脈を通って肺に送られます。
そして血液は、肺の中で二酸化酸素を出し新しい酸素を取り込みます。
綺麗になった血液は肺から左心房へ集められて、大動脈を通り全身に運ばれていくのです。
基本的にはこの流れなのですが、お母さんのお腹の中にいるときは肺呼吸ではないため、肺動脈から肺へと血液を送ることはありません。
「動脈管」という別のルートを通って血液を送るようになっています。
そして肺呼吸となる出生後は、動脈管の必要がなくなるため、だいたい生後2〜3日で閉じるはずが、そのまま残ってしまうのが「動脈管開存症」です。
動脈管が残っていることにより、血液の通常の通り道ではない動脈管にも流れていってしまいます。
症状は動脈管の太さによって異なり、あまり太くない場合は症状も出ずに過ごすことができますが、重症の場合は呼吸困難などを引き起こしてしまいます。
1−2−4. 心筋症について
心筋症は、心臓内の筋肉に異常が出てしまう病気です。
画像出典:https://www.fpc-pet.co.jp/dog/disease/70
心筋症の原因はいまだにはっきりとわかっていません。
心臓内の筋肉である「心筋」に異常が出てしまい、通常よりも厚くなったり、薄くなったりします。
そのため、心臓の動きが正常ではなくなってしまう病気です。
この心筋症には「拡張型心筋症」と「肥大型心筋症」と2通りがあります。
拡張型心筋症は、犬の心筋症では一番多いタイプです。
ある一定の特定犬種や家系に発症しやすいため、遺伝の可能性が高いと考えられています。
拡張型心筋症は、心筋が薄くなって、心臓の動きが低下してしまう病気です。
反対に、心筋に何かの異常が起こり、左心室が分厚くなってしまい血液を全身にうまく送れなくなる病気を「肥大型心筋症」といいます。
肥大型心筋症は猫に多く、犬ではかなり稀にしか発症しません。
しかし検査等で、左心室の肥大が確認できれば、他の疾患と同様に可能性があるのでしっかりとした判断が必要となります。
⒉ 犬の心臓が肥大する原因
犬の心臓の肥大は、さまざまなことが原因で起こるとされています。
心臓の肥大に関係がなさそうなことでも原因となることがあるのです。
2−1. 歯周病
口腔内環境が悪いと、心臓にも影響するとは驚きですよね。
愛犬のお口の匂いが気になったり、歯石がついていたりするのは歯周病になっているのかもしれません。
歯周病になると、口腔内に歯周病菌が歯茎の中まで入り込んでしまいます。
そして、歯茎の中の血管にまで菌が入ってしまうのです。
菌が入った血液は血管を通って、最後は心臓にまで行き着くことになります。
心臓に行き着いた歯周病菌は、やがて僧帽弁にくっつきます。
くっついた歯周病菌は炎症を起こし、僧帽弁は正常な機能ができなくなってしまうのです。
そのため、血液が逆流してしまい「僧帽弁閉鎖不全症」を引き起こすことになってしまいます。
2−2. 食生活
塩分を多くとりすぎることは、心臓を肥大させる原因となります。
人間には適度な塩分は必要ですが、犬は大量に汗を出すための器官が備わっていません。
そのため塩分を摂り過ぎてしまうと排泄できなくなり、水分を多く取ることで水分過多に繋がります。
過剰に水分を取ることで血液の量が増えて、心臓への負担となってしまうのです。
塩分を摂りすぎないよう気をつけるためには、おやつの量を管理することが重要です。
特におやつは、あまり意識せずに何気なく与えていることが多いのではないでしょうか。
中でも犬用のジャーキーや、犬用の煮干しなどは塩分を多く含むので、与える量をしっかりと管理しましょう。
成犬では1kg当たり50mg程度の塩分摂取が1日分の目安となります。
成分表を見て塩分の量を確認しましょう。
また、脂肪分が多い食事にも注意が必要です。
ドライフードよりもウェットフードのほうが脂質が多い傾向にあります。
フードの中身が肉類ばかりだと特に多い可能性があるので、成分表を確認しましょう。
脂肪分が多い食事は肥満の原因となり、体が大きくなるとその分血液が必要となってしまいます。
そのため頑張って動いている心臓をさらに動かせてしまうことになります。
食生活では、塩分と脂肪分に気をつけることが大切なのです。
2−3. 適度な運動
適度な運動は、筋力の低下や肥満を防ぎます。
肥満になると多くの血液量を必要とし、心臓への負担が多くなってしまいます。
また、心臓の肥大に限らず、適度な運動をすることは健康的な生活を送るためには不可欠です。
朝晩、1日2回の20〜30分の散歩が望ましいですが、犬種や年齢、持っている疾患により変わるのでワンちゃんに合わせて調整するようにしましょう。
どれくらい運動してもいいのかわからない場合は、獣医師に相談してくださいね。
そして、激しい運動や長時間の運動は、逆に心臓に負担をかけてしまうことになってしまいます。
天候はもちろんのこと、気温や湿度などに気をつけ、散歩の際は犬の状態に注意しましょう。
2−4. ストレスを溜めない
人間と同じように、犬もストレスが溜まってしまうと体へ悪影響を及ぼすことがあります。
それはストレスが溜まると、自律神経の動きに影響を及ぼすからです。
自律神経とは、血圧や心臓の機能を支配する重要な部分です。
自律神経の動きが乱れると、心臓の拍動に悪影響を与える可能性があります。
犬が感じるストレスとして、
- お風呂やトリミングの回数が多い
- 部屋の温度が暑すぎる・寒すぎる
- 騒音がする
- 寝床が清潔ではない
- お留守番の時間が長い
ことなどが挙げられます。
今一度、快適に過ごせているかどうか確認してみましょう。
正常に心臓が機能するためには、ストレスを溜めずに安心して過ごせるようにすることも飼い主さんの重要な役目です。
⒊ 犬の心臓が肥大していないか検査する方法
3−1. 動物病院での検査
しっかりと細かなところまで検査できるのはやはり動物病院です。
検査だけでなく獣医師の判断も仰げるため安心感も出ますね。
動物病院で行う検査には以下のようなものがあります。
- 聴診
- 血液検査
- 血圧測定
- 画像診断(心電図・レントゲン・超音波)
一般的な検査が多く、通常の診察でできるものがほとんどです。
聴診は、異常な呼吸音がしていないか耳で確認する方法と、聴診器を用いての方法と2種類あります。
また、心臓が肥大しているかは、超音波検査やレントゲン検査で評価ができます。
中でも超音波検査では、心臓の中をリアルタイムで確認できる重要な検査のひとつです。
弁の動きや血液の流れる速度や方向を確認することができます。
そうしたさまざまな検査を用いて、治療の必要性などを判断していきます。
3−2. 自宅での検査
自宅でもチェックする方法がいくつかあります。
気になることがある場合は一度自宅でチェックをしてみましょう。
一つでもチェック項目に当てはまれば、動物病院を受診するようにしてくださいね。
3−2−1. 心臓の音や振動を感じる
基本的には聴診器を使用して心臓の雑音を聞くのですが、抱っこをしている時などにも不自然さを感じることがあります。
通常は「ドッキンドッキン」「ドックンドックン」と、クリアーな音や振動を感じます。
しかし心臓に異常がある場合は、クリアーではない濁った音や振動として感じられる飼い主さまもおられるようです。
通常では感じとられることは少ないですが、心拍がなんとなくクリアーでなく不自然、または拍動が抜けることがあると感じられた時には動物病院に相談されると安心です。
3−2−2. 心拍数を測る
心拍数は1分間に心臓が動く回数のことです。
正常な時は、小型犬で60~80回程、大型犬では40~50回程と体格によって心拍数には差があります。
心拍数がいつもより多ければ注意が必要です。
3−2−3. 呼吸数を測る
心臓に負担がかかっていると呼吸数は多くなります。
運動後や散歩後ではなく、安静な時に測るようにしてください。
1分間に小型犬では約20回、大型犬では約15回呼吸をします。
30回を超えてしまうと異常です。
呼吸が多くて気になる時は数えてみましょう。
また、興奮したり運動をしたりしたあとは、荒い呼吸をします。
さらに暑い時に体温を下げるために舌を出して「ハァハァ」と呼吸します。
このような場合はほとんどが心配ありません。
3−2−4. 食欲の変化
年齢によって食欲は変化していきますが、極端に食べなくなったり、水分も取らなくなったりすると注意が必要です。
しかし、ご飯を食べないことは犬にとってはよくあることです。
食欲がないだけで、比較的元気があり、排泄もできていれば、1〜2日程度であれば心配はないでしょう。
ただ、ご飯を食べない以外に、元気がない、排泄もしていないなどの症状があれば、具合が悪い可能性があります。
すぐに病院を受診してください。
3−2−5. 毛や皮膚状態を確認
心臓が肥大し、負担がかかってくると血流が悪くなります。
そうなると毛にツヤがなくなり、パサついたりゴワついたりすることがあります。
さらに悪化すると脱毛がみられることもあるので注意が必要です。
特に脱毛は、お腹や背中に出ることが多いです。
また、舌や唇、口内の歯茎なども確認しましょう。
極端に青白かったり、逆に紫色になっていたりする場合はチアノーゼが疑われます。
酸素が足りずに非常に苦しいために出ている症状です。
すぐに動物病院へ行くようにしてください。
3−2−6. 行動を観察する
心臓が異常の場合は、とても疲れやすいことが多いです。
散歩をしていてもすぐに帰りたがったり、走るとすぐに息が切れていたりと、目につきやすい症状が出ます。
年齢による運動量の低下も考えられますが、日頃から動きをよく観察し気になることがあれば動物病院で相談するようにしましょう。
⒋ 犬の心臓が肥大した時の治療方法やケア方法
犬の心臓が肥大したらどのような治療をするのでしょうか。
治療法にはいくつかあり、病気の進行度合いや年齢などに応じても違ってきます。
また、自宅でできるケアもあるので必要に応じて行いましょう。
4−1. 動物病院での治療方法
病院では病気によって治療方法が異なります。
きちんと検査を受けて診断を受けましょう。
そして治療方針は、しっかりと獣医師と話し合って決めていくようにしてください。
まず心疾患で一番多い僧帽弁閉鎖不全症は「投薬治療」を基本とします。
肥大した心臓を抑える薬など、現在の症状を和らげることを目的とした治療方法です。
また、手術が行われることもあります。
僧帽弁を修復することで血液の逆流を抑えます。
しかし手術には全身麻酔を使用するなどリスクも伴うので注意しましょう。
手術が成功すれば根治できますが、犬に負担もかかるので、年齢などもしっかり考慮した上で治療方法を決めましょう。
4−1−1. 肺動脈狭窄症の治療方法
肺動脈狭窄症の治療は、重症でなければ「投薬治療」を基本とします。
心筋が厚くならないようにする薬や、不整脈を抑えてくれる薬を服用します。
しかし、重症になれば、投薬だけで肥大を抑える事が難しいため、手術が必要です。
手術にはバルーンというものを使用して弁を広げる方法と、人口心肺を使用して肺動脈自体を広げる方法があります。
また、心臓がかなり肥大している場合には、心臓を止めての手術にはかなりのリスクになるので動いた状態で行うことになります。
よって高い技術を必要とするため、病院選びがとても重要です。
4−2−2. 動脈管開存症の治療方法
動脈管開存症の治療は、初期の段階では積極的に手術を行う事が多いです。
動脈管を結ぶ手術や、カテーテルを用いて専用の詰め物をすることで、動脈管を閉鎖する手術などがあります。
早めに対処できれば根治が可能な病気です。
しかし、手術ができない状態の場合は、症状を緩和させて痛みや辛さを和らげる処置がとられます。
早めに手術ができれば予後は良好ですが、できなければ心不全が進行して生命に関わる事が多くなります。
4−2−3. 心筋症の治療方法
心筋症はそのものを治す事ができません。
基本的な治療は、心筋症の症状に合わせた「投薬治療」を行うことになります。
症状を詳しくみてもらった上で、心臓の働きを助けてくれる薬や、痛みを緩和する薬などを服用します。
4−2. 自宅でのケア方法
心臓が肥大している時は、ご自宅でのケアもとても大切になります。
4−2−1. 運動
激しい動きや、長時間の散歩などは心臓に負担がかかるので避けるようにしましょう。
また興奮したり、ワンワンと激しく吠えたりすることも、心臓の血液量が増えてしまって負担になるので注意が必要です。
しかし、運動を控えすぎて運動不足になる事がないようにしなければなりません。
肥満になると血液の量がたくさん必要となるため、さらに心臓に負担がかかります。
運動不足にならないくらいの適度な運動を心がけましょう。
ただ、適度な運動がどれくらいかわからない場合もありますよね。
散歩中や散歩後の体調をよく観察し、疲れている、咳が出るなどの症状があれば獣医師に相談してみましょう。
4−2−2. 心臓病をケアする療法食を選ぶ
高カロリーの食事は避けるようにしましょう。
また、塩分の摂りすぎにも注意が必要です。
食生活が乱れると肥満の原因にもなります。
高カロリーの食事は肥満となり、血液の量がたくさん必要となって心臓に負担をかけます。
心臓が肥大すると、運動にも少なからず制限が出てしまうので、食事でしっかりとコントロールするようにしましょう。
また、過剰な塩分も必要以上に水分を取ってしまい、その結果血液量が増えて心臓の負担となるので注意してください。
そこで選ぶフードは、獣医師が開発した心臓のケアを目的とした療法食だと安心ですね。
心臓の働きを助けてくれる成分を配合していますので、弱った心臓をサポートしてくれます。
また、併せてこまめな体重チェックをしていくことも大切です。
痩せすぎたり、太りすぎたりすることのないように、しっかりと体重管理をしてあげましょう。
4−2−3. 室内の温度を適切に保つ
暑すぎる、寒すぎるといった環境は、血管の収縮や血圧に影響を及ぼし、心臓に大きく負担をかけてしまいます。
犬種や年齢などにより個体差はありますが、犬にとっての快適な温度は21~25℃、湿度は50~60%とされています。
また、エアコンを使用する時期になると、家の中と外では気温差が大きくなってしまいます。
家の中でも比較的エアコンの影響を受けていない場所で、少し体を慣らしてから散歩に行くなどの工夫も大切です。
さらに、外でしかトイレができないと困ることも多くなります。
早いうちから、家の中でもトイレができるようにしておくと負担が少なくなるでしょう。
4−2−4. お風呂の入れ方に気をつける
心臓が悪い犬にとって、お風呂に入ることは重労働です。
特に小型犬は、熱いお湯からの蒸気を多く吸い込むので、具合が悪くなる事があります。
また、シャンプーの際は立ちっぱなしになることも、負担になってしまいます。
できればシャンプーは避けて、体を拭いたり、ぬるめのお湯に入れて短時間で洗うようにしましょう。
清潔に保つことももちろん重要ですが、無理のない範囲で行うようにしてください。
4−2−5. ストレスを解消させる
先にも述べたように、ストレスが溜まることも心臓へ影響します。
ストレスが溜まると、心臓機能を支配する自律神経の動きが乱れてしまい、拍動などに影響が出てしまいます。
まずは普段の生活の中で、ストレスが溜まっていないかを確認してください。
運動が足りていないようであれば、無理をしない程度の散歩や室内の遊びを増やし、体を動かすようにしましょう。
またストレスの原因が、室内の温度や騒音などの場合は、環境を整えてあげてください。
4−2−6. 日常的に状態を観察する
定期的に動物病院で診てもらうことも大切ですが、自宅でもよく観察してあげましょう。
- 食欲はあるか?
- 元気はあるか?
- 咳がでていないか?
- 排泄はきちんとできているか?
いつもと変わったこと、気になることがあれば、獣医師に相談してみましょう。
早めに気づくことができれば、病気の進行にも対処ができるかもしれません。
最後に
今回の記事が、心臓が肥大しているワンちゃんをお持ちで、苦しい思いをされている飼い主の皆様のお役に立つことができれば幸いです。
では、またお会いしましょう!
コメントを残す